Top: Critic's Corner
  ここには Heres for Theres についてのコメントや公開ファンレターを掲載しています。

私はHeres For Theres(HFT)のライブを未だ見た事がありません。 おまけにブルーグラスの事もよく知りません。 でも私のHPにはHFT(メンバーは自らをヒアーズと言っていますが)のページがあります。

私がまだテープトレードのイロハも知らなかった時に、親切に手ほどきしてくれたのがタックさんでした。 たくさんのGrateful Deadの音源と共にいただいたのがHFTのテープでした。
最初に聞いたのがYukotopiaでのDeadナイトのものだったので、Deadの曲が多くて、Deadのカバーバンドかなと思いました。 ところがどっこい、テープを聴き進めていくうちにとてもユニークなバンドであることがわかってきました。

アコースティックなブルーグラス楽器を中心に使っていながら、幅広くジャンルにとらわれないJAMを聴かせます。 まず最初に感心するのが、アキさんのパワフルなボーカル。うまいですね〜。 そして、阪野さんのバイオリンはある時はノリノリのマウンテンフィドル、Queen of the Nightに代表される幻想的な音宇宙。 テクニシャンの竹内先生のマンドリン、中沼さんのバンジョーとJerry Garciaばりのスチールギター、写真ではコワモテの高田さんは、キーボードベース(?)と、ドラムを同時に演奏。 未だ、この方がどうやって演奏をしているのか想像を絶します。 そしてタックさんのギターとボーカル。 ストリングベンダー大好き人間。

テープの中で、大受けのオーディエンスに向かってアキさんが“楽しい? でも私たちはもっと楽しんでいるよ”と、言っていた事があります。 いつも、とにかくEnjoyすることが第一のHFT。 ある時はドリフのズンドコ節まで飛び出します。 リクエストで即興でブルーシャトーを演奏した事もあります。
ほとんど集合練習はしないというメンバー達。 JAM自体を楽しんでいるようです。 テープを聴くたびに何か新しい事をしていて、いつも鮮度を感じさせるバンド。 それがHeres For Theres。

タックさんとは数えきれないメールの交換をしましたが、その半分以上は音楽に無関係な家族の事や環境のこと、教育問題...
私はタックさんから人生について、たくさんの事を学びました。 2000年の6月に日比谷野音のPHISHのショーでついにお会いしたタックさんは素晴らしいナイスガイでした。 笑顔を絶やさぬチャーミングな奥様(なんとニックネームはミケさん)と天真らんまん、深い愛情の中で育てられている可愛らしい二人のお嬢さんともお会いしました。

いつも自宅に遊びに来るように誘ってくださるタックさん。
HFTのメンバーを実際に見て、ライブのJAMを聴いて、タックさんのお宅で酒を呑む..楽しい私の夢です。

Peace! Enjoy! Happy! Miracle!

12-23-00 zep@HFT北海道支部.登別営業所(無許可営業)

『今からGD』HFTのページ
http://homepage3.nifty.com/grateful/hft.html

HFT B&Pのページ
http://homepage3.nifty.com/grateful/tape/hft.html

「ブルーグラスってこんなんだっけ?」
1996年の8月23日、箱根サンセット・クリークで初めて目にしたヒアーズの印象。

山の中にしつらえた木製のステージ、虫の声をBGMに演奏されるオーセンティックなブルーグラスの佳曲の数々。 色とりどりのテントサイト、焚き火を囲んで酒を酌み交わし夜中繰り広げられるジャムセッション。 まるでアコースティック楽器の展示会場のようにそこらに転がる名器の数々。 現風景は何一つ変わっちゃいない…。 実はこのとき箱根のフェスは十数年ぶり、東京の某私大のブルーグラスバンドで一年ちょっとバンジョーをかじった私は当時、飯炊係で参加した経験があったのだった。 まるで学生時分にタイムスリップしたかのような錯覚。 「何も変わっとらんなぁ〜。」確かに耳に入る音楽は当時と同じく古臭くて野暮ったい、俗に言う「ボログラス」がほとんど。 変わったと言えば参加する皆さんの頭が薄くなったり、白髪が増えていたり…、「オヂサンたちの同窓会」ってかんじ。 「バンジョーの音が耳にささるなぁ。テナーの声が背中にさぶいのぉ〜」とそろそろブルーグラスに飽き飽きし始めたころ「出会い」は突然。

夜も深まり、時計の針が夜11時をまわったころ登場したのがタック率いるヒアーズの面々。 たしかに異色。 上から下まで原色タイダイの派手なコスチューム、しかもメンバー全員。 タックにいたってはボサボサの長髪に髭だらけの面相、無く子も黙る風体。「ホントかよ?」

手馴れたMCの直後から飛び出すサイケな坂野のフィドル、エキセントリックなナッキーこと中沼のバンジョー&スチールギター、ツボを心得た竹内のマンドリンにベース兼ドラムスって驚異的なテクでリズムを支えてる高田。 パンチの効いたファンキーなアキさんのボーカル。 時にしっとりと染み入るタックのボーカル。 (ごめん敬称略)そのコンビネーションの妙もだが驚かされるのはレパートリーの広さと深さ。
「ど」が付くような野暮ったいカントリーからさわやかなウエストコースト・サウンド、シンガーソングライターもののカバーもあればリズム&ブルース、そうかと思えばインプロビゼーションたっぷりのサイケデリックなジャム。 しかもどれも皆しっかりと消化され「ヒアーズの音」として存在している。

この箱根の夜、彼らはそこで知り合ったデッドへッズのためにデッドのカバーを披露してくれた。 亡きジェリー・ガルシアの一周忌をすませたばかりのヘッズ達にあの夜の Brokedown Palace はどう響いただろう? 静かに深く頭を垂れる者、天を見上げていっしょに口ずさむ者、誰もがヒアーズの愛に触れた瞬間だった。

今一番の関心は10年20年後のヒアーズ。
きっとみんながイイ感じで年を重ね、キャリアを重ね、さらに味わい深いヒアーズの音を創ってみせてくれるであろうって期待。

タックへ、いい年とってね。ずっと見てるからさ。

じゃ。

とし@アシュベリー
こと小俣敏彦
02/14/2000


ブルーグラスでデッドを演奏するユニークなバンド Heres For Theres。
楽しんで演奏がモットー!
おもしろくてユニーク、しかも実力派のバンドのヒアーズ。
ライブを一度でも見たなら、きっと好きになるバンドです。

モリケン (G.D. Kanagawa,Japan)、1996年11月